俺の空 一触即発
俺の赤い愛車の前に立ちはだかり
行く手を阻む二人のおとこ
俺はハンドルから手を離し左側から降りた
ひとりなら秒殺できるが・・・
車道の反対側にも仲間とおぼしきおとこがこちらの様子を窺っている
しかもおとこらは一目でそれとわかる武器をチラつかせている
俺は自分から仕掛けることはしない
此処はひとまず相手の出方を待つとする
「これは君のか・・」
端的な言葉 同時に相手を威圧する鋭い眼光を俺は見逃さない
「ああ、そうだ・・ 何か?」と即答
おとこの視線が俺の左胸に・・不自然な膨らみに気付いたようだ
俺はゆっくりと左胸の内ポッケトから取り出し 素早くおとこらに向けた
一瞬 緊張がはしる
おとこらは何やら幹部に連絡を取っているようだ
恐らく応援を頼んでいるのだろう いや間違いなくそうだ
おとこらの訓練された身のこなし 統制のとれた指揮命令系統 そしてあの武器
こんなことができるのは このシティーではあの組織以外ありえない・・
「・・・ 」
この周囲だけ時がとまり 緊張した雰囲気がこれ以上持たないと思われたその時
「どうも・・・・」
おとこらは俺に道を譲ると言い出した
孫子の兵法「百戦百勝は善の善なるものにあらざるなり 戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」
俺の正体がわかり おとこらでは太刀打ちできないと悟ったのだろう
端から そうすればよかったのだ
怪我をしなくて胸をなでおろしているのは間違いなくおとこらの方だ
こんなところでとんだ足止めをくらい 予定が狂ってしまった
遅れた時間を取り戻そうと 俺はすばやく赤い自転車にまたがり
雪がちらつく寒空のした 何事もなかったように依頼人のもとに向かった
一触即発 完
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